バレエは舞踏のなかでも特に足への負担が大きい種目です。巻き爪に悩むバレエダンサーの方も少なくありません。
巻き爪を軽視して放置していると、症状が悪化してバレエのパフォーマンスに影響が出るようになります。
この記事では、バレエをする人が巻き爪になりやすい原因や放置するリスクを詳しく解説し、予防方法や対処法について紹介しています。
バレエによる巻き爪でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
この記事の監修者:
巻き爪フットケア東千田町院 院長 文田 早織(ペディグラス認定メディカルトレーナー、同認定足爪補正士・鍼灸師)
もくじ
バレエをする人が巻き爪になりやすい原因は?
巻き爪は誰にでも起こりうる爪の病気です。なかでも、バレエをする人は巻き爪になりやすいといわれています。
バレエをする人に巻き爪が起こりやすい原因について、以下で詳しく解説していきましょう。
バレエは足のトラブルが多い舞踊
バレエは、つま先立ちをするポワント(ポアント)、パンシェといった足を高く上げるポーズや、グランジュッテのように開脚しながら飛ぶジャンプなど、足や爪に負担が集中する特殊な姿勢や動作をおこないます。
こうした足への負荷から、足や足関節に起きるケガが約65%にのぼり、以下のような足のトラブルを起こしがちです。
- 巻き爪
- 外反母趾
- 長母趾屈筋腱症
- 足底筋膜炎
- 捻挫・肉離れ
- 第二中足骨骨折(疲労骨折)
また、股関節を大きく開く動作も多いため、股関節にも負担がかかりやすくなっています。
股関節まわりに痛みや障害が起きると、体のバランスが崩れやすくなるでしょう。股関節の不調をきっかけに、足にかかる力のバランスも崩れ、巻き爪や足の痛みの遠因になることも考えられます。
参考文献:【スポーツ現場からみたスポーツ医学のニーズ】整形外科医の視点 バレエダンサーたちの受診理由から(解説)平石 英一(ライフ・エクステンション研究所附属永寿総合病院 整形外科)Sportsmedicine(0916-359X)31巻6号 Page12-15(2019.08)
▶関連記事:巻き爪とは?陥入爪との違いや原因を解説
特につま先へ過剰な負荷がかかる
バレエをする人が巻き爪になりやすい主な原因は、つま先立ち姿勢の1つであるポワントです。
ポワントの姿勢を取るためには、トゥシューズを履く必要があります。
トゥシューズの先端はハサミでは切れない程の硬さです。ポワントの姿勢がつま先に大きな負担をかけるのは明白でしょう。
爪は前に伸びていく性質です。爪が伸びる先に障害があると正しく伸びることができず丸まっていきます。
ポアントによる足の爪の圧迫は、爪の正しい成長を阻害するため、巻き爪が起きてしまうのです。
トゥシューズやトゥパッドが足に合っていない
サイズの合わないトゥシューズは、つま先立ちをした際にさらに大きな負荷がかります。
また、足先の痛みを軽減するためにトゥパッドを使用しますが、トゥパッドが合っていなければ、負担が軽減されません。
このように、合わないトゥシューズやトゥパッドも巻き爪の原因になったり、巻き爪を悪化させたりする可能性があります。
爪切りの方法が間違っている
バレエをしている人に限ったことではありませんが、足の爪の切り方を間違っているのも巻き爪になる原因の1つです。
深爪の状態から爪が伸びてくると、爪の両端が皮膚に埋もれ、皮膚に圧迫された爪が内側に巻きはじめます。
バレエをする人が深爪をしていると、硬いトゥシューズやポワントによって足の爪にさらなる負担がかかるため、巻き爪になるおそれが強まるでしょう。
巻き爪を放置してバレエを続けるとどうなる?
巻き爪になっているのにそのまま放置してバレエを続けることは、さまざまなリスクを伴います。
巻き爪を放置することで起こり得るリスクは以下の通りです。
症状が悪化する
巻き爪を放置してバレエを続けると、巻き爪の症状が悪化する可能性があります。
つま先にかかる負荷によって爪の変形は強まり、爪が皮膚に食い込むようになります。これにより、赤みや腫れといった炎症が生じ、化膿することもあるでしょう。当然痛みも強くなっていきます。
パフォーマンスが低下する
巻き爪放置による症状の悪化は、パフォーマンスの低下にもつながりかねません。
バレエをする度につま先が痛むようになると、無意識につま先をかばう動作になりがちです。姿勢が歪み正しいポジションが取れなかったり、バランスを崩して転倒したりすることが考えられるでしょう。
痛みでトゥシューズが履けなくなる
トゥシューズは、足先が小さく、シューズの中に空間やゆとりのないジャストサイズのものを使用します。
巻き爪の食い込みが悪化した状態でトゥシューズを履くとさらに爪が圧迫され、痛みも強くなっていきます。
痛みのせいでトゥシューズが履けないということも起こりかねません。
日常生活にも影響する
巻き爪を放置すれば、バレエだけではなく日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。
巻き爪の痛みをかばうような姿勢や歩き方は、全身のバランスを崩します。すると、足や腰をはじめとする下半身だけではなく、首や肩といった上半身にもこりや痛みなどの症状が現れるようになります。
また、足にかかる力のバランスも偏りやすくなり、タコやウオノメなど足のトラブルにもつながります。
バレエによる巻き爪を起こさないための予防法
巻き爪によってバレエの演技に影響を及ぼさないためにも、日頃から予防を心がけることが大切です。
バレエダンサーの方に最適な巻き爪の予防法をご紹介します。
足の指に筋力をつける
足指を鍛えるには、タオルギャザーという足裏の運動がおすすめです。
- 薄手のタオルを床に敷きます。
- かかとだけ外にでるような状態でタオルの上に足を置きます。
- 足の指の力だけでタオルを掴み、自分の方へタオルを引き寄せていきます。
※1・2・3を繰り返す動作を1セット10~20回、1日3~5セット程度実施する。
体幹を鍛え、正しい姿勢を習得する
トゥシューズでつま先立ちをした時に身体の軸がぶれていると、指先への負担が大きくなります。
上半身が傾くような悪い姿勢には注意が必要でしょう。
軸がぶれない正しい姿勢は、体幹を鍛えることで維持できます。日頃から練習に体幹トレーニングを取り入れるとよいでしょう。
足の爪の切り方を適切な長さと形にする
トゥシューズに爪があたらないように、深爪にしてしまいがちという方も多いでしょう。爪は長すぎるのも短すぎるのもNGです。
長い爪は爪が折れたり割れたりする原因となり、短すぎる爪は伸びてきた爪が皮膚に食い込み、かえって痛みや巻き爪を引き起こす原因となってしまいます。
以下の点に注意して爪切りをおこなうようにしましょう。
- 爪の端はスクエアカットにする
- 指先の高さと同じくらいの長さにする
- 深爪にならないように少しずつ切る
- 爪が割れやすい場合は爪やすりを使用する
自分の足に合うトゥシューズを履く
バレエダンサーにとって、トゥシューズ選びはとても重要なポイントでしょう。
シューズが合わないことで足が痛むという状態を極力避けなければなりません。
普段履く靴とは選び方が異なり、トゥシューズは足の大きさや横幅がピッタリとフィットするものを選びます。
また、新品のトゥシューズは硬すぎてそのまま履くことができません。ソールを曲げたり、ボックス(甲の部分)を潰したり、慣らしの作業をおこないましょう。
バレエで巻き爪になってしまった場合の対処法
軽度であればセルフケアしてみる
巻き爪が軽度の場合は、セルフケアを行ってみましょう。
比較的簡単にできるセルフケア方法には、「コットンパッキング」と「テーピング」の2種類があります。
コットンパッキングは、皮膚へ爪が食い込んでしまっている部分へコットンやガーゼを挟む方法です。
もう一方のテーピングは、テーピングテープを巻き爪のある指に強めに巻いて、爪と皮膚の間に隙間をつくる方法です。
いずれも爪の食い込みを緩和させ、痛みを軽減させる対処法になります。
セルフケアの詳しい方法については、ぜひ以下の記事もご覧ください。
▶関連記事:巻き爪の治し方は?セルフケアでも治せる?
中度・重度はセルフケアが難しい
巻き爪の症状が中度や重度の場合は、セルフケアでの改善は難しいでしょう。
痛みも強くなっていることが予想されるため、専門機関にてケアを受けることをおすすめします。
なお、巻き爪のケアは、皮膚科や形成外科などの医療機関や、フットケアを扱う整体院・接骨院、フットケア専門院などで施術を受けられます。
▶関連記事:病院での巻き爪治療法と受診の注意点について
フットケア専門店での巻き爪補正が推奨される
病院と専門店どちらで相談すべきか?と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。
以下の理由から、まずは巻き爪に対応しているフットケア専門店に相談することをおすすめします。
- 爪を皮膚から切り取るなど痛みのある施術はおこなわない
- 目立たないプレート補正で巻き爪の改善が目指せる
セラピストプラネットの巻き爪フットケア店では、「ペディグラス」という特許を取得した技術による巻き爪補正をおこなっています。
透明なプレートを用いて補正するため、ワイヤーやクリップによる補正よりも目立ちにくいという特徴があります。巻き爪が再発しないように根本から改善できるというのもポイントです。
巻き爪は重症化するほど改善までに時間がかかります。できるだけ早く巻き爪の痛みを取り除きたい方、巻き爪補正中もバレエを続けたいという方はぜひ一度ご相談ください。